カタクリ家の幸福
「カタクリ家の幸福」(2001 日 三池崇史監督)113分
全財産をつぎ込んだペンションに現れるおかしな客が次々に変死を遂げ、一家が死体処理に苦慮する話。「クワイエット・ファミリー」という韓国のブラックコメディをミュージカル風にリメイクしたものだそうである。意図はわかるのだが、なんかいまいち納得いかない。確かに設定はブラックコメディとして秀逸である。また、ミュージカルがもつ突拍子のなさ、意図的に演出された脱力感、間抜けな空気がおもしろい瞬間もたまにある。ただ、いかんせんテンポが弛緩しきっており、全体的に不発というか空回り。ゆるさやわざとらしさがギャグに昇華しないうちに作品のテンションを下げてしまい、ゆるいというよりダラダラしたまま終わってしまった印象がある。ミュージカルシーンの曲があまりよくないのもその一因かもしれない。無造作のなかにもいま一歩つきぬけた真剣さや過剰さが欲しいところ。冒頭とラストに唐突に挿入されるクレイアニメの《殺気》(ポチの表情の凶悪なこと!)が際立っているだけに、実写部分がしょぼく見えるのは否めない。★