火を噴く惑星
「火を噴く惑星(PLANETA BUR)」(1962 ソ連 パーヴェル・クルシャンツェフ監督)73分
おもしろかった。「禁断の惑星」「巨大アメーバの惑星」に代表されるこの時代のSF映画の中ではダントツで笑える。宇宙探査船が金星に着陸するとそこは地球そっくりの生態系。おまけに恐竜までうろついていて、ぴょんぴょん飛び跳ねる小型恐竜(カワイイ)を乗組員は躊躇なく撃ち殺します(笑)。敬語でないと言うことをきかないロボットのジョンさん(カワイイ)は役に立たないし、乗組員のおっさんたち(カワイイ)にも危機意識はあまり感じられず、たき火とかしながらのんきな笑い声さえもれるしまつ。幾度となくピンチを迎えるのですが、テキトーな推測と無謀な行動でなぜか次々に窮地を脱していきます(残念ながらジョンさんはマグマに飲み込まれて死んでしまいます)。という感じで終始のんびりしたまぬけな空気が漂う作品ですが、面倒な描写を極力省略する一方でどうでもいい細部に執拗にこだわるソ連製SFのよい意味での貧乏くささ、リアリティなんぞくそくらえのB級テイストゆえに、真にイマジネイティブでユーモラスなSF作品となりえている。思考の箍を外してくれる映画とはこういうのを言うのだ。合間に挿入される能天気なロシア民謡?が最高。★1/2