「魚と寝る女(THE ISLE)」(2000 韓 キム・ギドク監督)90分
世間から孤絶した釣り場、そこへやってきたわけありの男、暗い水面にゆれる般若のような女の顔・・・。ある意味、韓国版「砂の女」とも言うべきホラー心理劇。ミニマムな台詞・音楽・ストーリーで構成された各ショットに驚きがあり、静かな、しかし強烈なテンションで画面に惹き付けられる。余計な要素がないだけに映像の美しさと純粋な残酷がきわだち、映画は寓話的な抽象性と幻想性を帯びてくるのだ。ラストの映画的なショットの連続はめちゃかっこいい。映画における解放のロジック(カタルシス)が意外なほど期待どおりに映像化されている。★1/2