愛を乞うひと
「愛を乞うひと」(1998 日 平山秀幸監督/下田治美原作)135分
「着てみせてあげな。なに恥ずかしがることがあんのさ。ほら、早く父さんにみせなよ。スカートもだよ。早くおしよ。シミーズもぬいだ方がいいよ。ぬぐんだよ。ぬげって言ってんだろ。一丁前に色気づきやがって。」
いたいけな少女がひたすらババアにいじめられる姿をコレデモカと描いた変態映画。実の娘に鬼畜の限りを尽くす母親の行動原理がまったく理解不能で、殴る蹴るの身体的暴力はあたりまえ、ゲロ洗顔や田麩固め、強制ストリップに至ってはもはやギャグとしか思えず、頭に虫が湧いた人のサンプルとして興味深く拝見しました。同様に、母親の理不尽な虐待に耐えながらもなお愛を乞う(?)娘の心理がまた不気味。そんなヒロインの娘時代を演じるのは、個人的にとても応援したくなる5/8美少女・浅川ちひろたん。給料をすべて巻き上げられたあげくシバキ倒され、なおかつ笑顔で答えるちひろたんの常軌を逸した健気さにとても興奮してしまいました。というわけで要所は相当えげつない本作ですが、映画としては過去と現在を頻繁に交差させる例のスカした構成に終始イライラ。時間軸が分断され視点が切り替わるたびにいちいち感興がそがれる。特に余計な発言ばかりするイグサの存在を始め合間に挿入される現在の風景がいちじるしく邪魔である。ラスト10分は完全に蛇足だと思った(あのバス車内のクサイシーンですべて台無し)。のんびり農作業で終わるのもなんだかなあ。ところで映画とはほぼ無関係だが、劇中に○明堂のカステラ(わたくしが大嫌いな食べ物)のCMが昔と現在のバージョンで流れるのだが、どちらも串刺しになった5匹のコグマ(もどき)がテーマ曲に乗ってラインダンスを踊るという狂った代物。
♪カステラ一番 電話は二番 三時のおやつは文明堂♪(「天国と地獄」のメロディで)
わたくしは初めて観たのだが、あやうく洗脳されるところであった。★
http://www.tokyo-bunmeido.co.jp/contents/cm-history/1990.html