妖精たちの森
「妖精たちの森(THE NIGHTCOMERS)」(1971 英 マイケル・ウィナー監督/ヘンリー・ジェイムズ原作)
「生まれる時や死ぬ時に苦しまないとでも思ってるのか?愛する時にも痛みはないと思ってるのか?だとしたらおまえは偽善者だよ」
やっとこさ観れた。これも長らく入手困難でしたね。『ねじの回転』の映画化としては「回転」「ホワイト・ナイトメア」が知られていますが、本作は純粋な映画化ではなく原作を大胆に翻案し、ブライ家の幽霊が誕生するに至った経緯、つまり本編の前日譚をでっちあげたもの。よってオカルトではなく「EVIL CHILD」ものと言えるかと思います。設定も兄妹から姉弟に変更されている。庭師と家庭教師のSMプレイに触発された子供たちがその擬似行為をし、徐々に歪んでいくさまはショッキングだし、子役もなかなかきもちわるい(とくにフローラの目!)。ただ彼らの邪悪さの根拠、つまり突如として発揮する情緒不安定や無邪気な残酷さの由来に若干無理を感じます。オカルトなら無条件で承認される動機を論理的に付帯した分、底知れない不気味さが失われたというか。あと、もう少し暗く鬱陶しい作品を期待していたが、映像がやや鮮明にすぎるのと音楽が小うるさくて、息苦しいまでの閉塞感という点では上記二作品に一歩ゆずります。まあ悪い作品ではないし見どころも豊富なので、細かいことをつべこべぬかすのは野暮ですね。★
カエルたんがこんな目に!