うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(Urusei Yatsura - Beautiful Dreamer)」(1984 日 押井守監督)98分
「あの運命の夜からどれほどの歳月が流れたのか。しかし今、我々が築きつつあるこの世界に時計もカレンダーも無用だ。我々は衣食住を保証されたサバイバルを生き抜き、かつていかなる先達たちも実現しえなかった地上の楽園を、あの永遠のシャングリラを実現するだろう。ああ、選ばれし者の恍惚と不安ともに我にあり。人類の未来がひとえに我々の双肩にかかってあることを認識するとき、眩暈にも似た感動を禁じえない。」
昔テレビでやっていた、好きよ好きよ好きようっふん♪という恥ずかしい歌で始まるあのアニメのなにがいいのかいまだにわからんが、ともかくこれはその映画化作品のうちのひとつ。監督は有名な人で、マニアの間でカルト的な人気を誇っているらしいので観てみた。シュールな奇想と哲学性が同居した奇妙な作品だった。観たことがあるようなないような、この作品じたいが一種のデジャヴなのだが、案外むかしテレビで見たことがあるのかもしれない。個人的には騒々しい漫画的キャラクター群にまったく共感できないのだが、時空をループさせたりワープさせたりするSF的なギミック、だまし絵や位相幾何学の要素を取り入れた構図はおもしろかった。いかにもマンガ的なキャラクターがいきなり理屈っぽい台詞を語りだしたりするのはこの監督の持ち味なのだろうか。しかしこの作品でいちばんいいのは、ひとけの絶えて荒涼とした世界の描写。デ・キリコの絵柄に出てきそうな静止した世界、そんな終末感があふれているのですね。★