トリック(1)
「トリック(1)」(2000)
「上田次郎か・・・。平凡な名前。弱虫だし。意味なくでかいし。えんがちょきーった」
「それ、僕を傷つけてるつもりか」
いまさらのようだが、これおもしろいな。まずなんといっても仲間由紀恵へのセクハラが楽しい。山田奈緒子の貧乏部屋の粘着描写もマニアにはたまらないものがある。山田奈緒子「萌え」の正体は実にサド性とマゾ性を併せ持つ仲間由紀恵へのあらゆる意味でのセクハラではなかろうか。またもうひとつこのドラマの特徴として、明らかに違和感を与える変な構図や間、あるいは編集によって意図的に生み出された落差がギャグやメリハリとして機能している点が挙げられる。たとえば第一話の見事なラストカット(菅井きんの台詞「わたしは、ひんにゅうで」の途中で分断)は映画では不可能なカット割であり、テレビドラマ特有の時間的制約を利用した緊張感の「演出」である。結果、トータルでは通常の映画よりも時間が長いにもかかわらず飽きさせない。トリックそのものはさほど重要ではなく、解明もかなりいい加減なものである。しかしこのいい加減さが重要なのであって、ふざけた小細工や詐術で巧みに視聴者をたぶらかすペテン師のようなドラマ、それが「トリック」なのだ。あと、成海璃子すげー。なにがって8歳にしてこの老け顔。硬直した能面のような無表情に萌える。★1/2