虹の女神 Rainbow Song
「虹の女神 Rainbow Song」(2006 日 熊澤尚人監督/岩井俊二プロデュース)118分
追悼・上野ずり 1ねん1くみ はたまさのり
くっそう・・・萌えた。成就しない、報われない、一歩も二歩も手前で立ち止まる、といったセツナ系要素に加え、上野ずり特有のかわいげのなさが皮肉にも主張しない健気なヒロイン像と一致し、そのギャップが萌え効果を生んでいる。ああ、やっぱり主人公がかわいそうなまま死んじゃう映画はいいなあ。台詞のないシーンがいいんだよね。水溜りに逆さに映りこんだ虹とシルエットをイヤミなく捕捉した時点でわたくしはこの作品のマジックを確信したのである。凡庸な作品なら演技や台詞でブランクを埋め尽くすところだが、優れた作品はブランクそのものを詩へと昇華する。超絶愚作「親指さがし」と凡作「ニライカナイからの手紙」の監督とは思えない作品だが、たぶん脚本が完成しているのでしょう。お涙頂戴と言えばそうなのだが、確かに本作のポイントは主人公の喪失感へと集約されるものの、わりとあっけらかんとしているので、ちゃらけた芸能こじきどもがメソメソしまくる話がずらりと並ぶ昨今の邦画の腐ったラインナップのなかにあって、いささか異彩を放っているのは確かである。しかし種ともこの歌ってめちゃ久しぶりに聞いた。萌えー。★1/2