時をかける少女
「時をかける少女(THE GIRL WHO LEAPT THROUGH TIME)」(2006 日 細田守監督/筒井康隆原作)100分
時をかける変態 1ねん1くみ しんぼうじろう
わたくしの好みではないがヒロインのスカートが異常に短いわあえぎ声はいやらしいわ、脇役の女の子がめちゃかわいいわでエロ度は申し分ない。時間の水たまりをひらりとまたぎこすミニスカの少女、そこに映し出されるものが何であるかはおのずと明白であろう。それだけにあのスカート丈の短さでパンチラの一枚もないという点には大いなるむじゅん(漢字わすれた)を感じずにはいられない。ところで、これは本来なら物語の冒頭の踏切事故→ヒロイン即死で完結するはずの物語だったわけであり、そうするとむしろヒロインが死の直前の数秒間に観た長い長い幻覚、という解釈が妥当なところではなかろうか。その証拠のひとつが、ヒロインたちの不自然な明るさに満ちた学園生活である。まるで絵に描いたような白々しい虚妄の《青春》によってヒロインの死亡は色濃く暗示されていると見るべきだろう。その意味で、もう削除されたようだが以前Youtubeにうpされていた「もう一つの結末」(踏切に激突し宙に舞い上がるヒロインとそれに続くスラヴァの「カッチーニのアヴェ・マリア」)、あの重苦しいダークな最後こそが本作のような浮わついた青春映画には最もふさわしいと思う。まあわたくしほど他者への共感というものを徹底的に欠いていると、誰が死んだとかたいていのことは気にならなくなるものです。しかし総じて内容のうっすい映画だった。キャラクターも軽薄にしてわざと薄っぺらくしているのだろうが、つきあうだのつきあわんだのあほか、教科書でせんずりこいとれと叱責してやりたい。あと「ドニー・ダーコ」「バタフライ・エフェクト」「タイム・トラベラー〜戦場に舞い降りた少年〜」など時間構成をいじってよろこぶSFもどきが定期的に作られるが、どれも児童買春で逮捕された今関あきよし監督の「タイムリープ」とどっこいどっこいな気がします。★