パプリカ
「パプリカ」(2006 日 今敏監督/筒井康隆原作)
よくできたで賞 1ねん1くみ なみこしとくじろう
わたくしはかねてからわたくし以外の頭のおかしい人間の頭の中を覗きたいと思っていたが、これは頭のおかしい人間の頭の中身を適切に映像化することに成功した稀有な例であろう。「Perfect Blue」「千年女優」「妄想代理人」など、なんと読むのか知らんが今敏の作品はアイデアこそ古典的なものの妄想と不可分のウィアードな世界を一貫して描きつつ、おなじみP-MODELの平沢進によるキショさわやかな音楽によって観客を彼岸へといざなう仕組みになっております。この作品も物語がどうというよりも夢と妄想のパートの仕上がりが非常にすばらしい。映画なんでセリフはもうすこし抑えてほしかったが、あのきもちのわるい質感を出せたのはさすが。特に大小の動物や鳥居やらがいっしょごたになって行進する狂ったパレードは延々観ていたいと思わせるほどのキショすばらしさ。逆に90分では食い足りないので、あってもなくてもどっちでもいいドラマ部分を削除して妄想部分を増やすか「妄想代理人」ぐらいのボリュームにするのがこの作品にはふさわしい。★1/2