ビチ子の異常な愛情/またはわたくしは如何に心配するのを止めてNHK
を愛するようになったか
中学生の頃、H君という凶暴な同級生がいた。彼はどのクラスにも一匹はいる「頭のおかしい子」で、怒ると人に噛みついたりするので有名だった。絵が得意だったわたくしは、ある日H君から「《えぐい絵》を描いてくれ」と頼まれた。噛みつかれるのはイヤなのでわたくしは脳や内臓がはみでてメダマがピンポンダマのように飛び出した日野日出志風の死体を描いてあげた。するとH君はとても喜んでくれ、もっと描いてほしいと懇願してきた。「アイロンを顔面におしあてられている人」「頭が爆発して脳を四方に飛び散らせている人」など、要求がエスカレートしていくのでたいへんだった。今ごろは彼も立派なサイコパスになっていることだろう(合掌)。
さて、そんなこともあってかあらずか、わたくしは当時から今に至るまでNHK(日本放送協会)が好きである。むしろ愛しているといってもいい。最近こそ観ていないが海外ドラマ枠には本当にお世話になった。「大草原の小さな家」「フルハウス」「アボンリーへの道」(ただしサラ・ポリーが一番カワイイのは「丘の上のジェーン」のこじき娘です)「名探偵ポワロ」「ジェシカおばさん」故ジェレミー・ブレッドの「シャーロック・ホームズの冒険」89年ごろにやってた初期の「Mr.ビーン」語学番組や科学番組のエロくてかわいいアシスタント、幼児番組の狂った着ぐるみや操り人形など。だからわたくしは悲しい、今のNHKのテイタラクが。かろうじてまともなのは幼児番組と情報番組と語学番組ぐらいで、朝っぱらから軽薄な笑いとお涙チョーダイを押しつけてくる腐りきった朝ドラ、ちょんまげドラマにふんどしプロレス、ヤングにむりやり迎合した笑えないオワライ番組、・・・目を覆うべき腐敗堕落の惨状を観るにつけ思わず激高してしまったが、それもこれもわたくしがNHKに寄せる異常な愛情がなせる業なのだ!
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ビチ子さんの怒った顔を見たのはそれが最後でした。
なぜならビチ子さんはあのヒステリックな笑顔のままご自宅の床下で冷たくなっておられるからです。