案山子男
「案山子男(SCARECROW)」(2002 米 エマニュエル・イティエ監督)
いい。いいわ、これ。ダリオ・アルジェントに捧げられた本作は全体的に低予算むきだしではあるが、「キャリー」「デビルスピーク」の衣鉢を継ぐ正当派いじめられっ子ホラーである。俺はジェイソンもフレディもブギーマンも大嫌いだ。ギャグでもなく無意味に人間を殺しまくるのはただのキチガイである。笑えないキチガイほど寒いものはない。「案山子男」はそんな欺瞞性のかけらもない純粋な復讐劇である。レスターのあまりの報われなさに不覚にも涙がこぼれそうになった。こんな悲惨な一生があっていいものか。復讐の鬼と化した案山子男。「ママ助けて、もう誰も殺したくないよ」ジレンマに引き裂かれながら闇へと一体化するレスターの魂の叫びにまたしても涙。その一方で「キラー・スノーマン」風のお茶目な演出がそこかしこに見られるし、案山子男のセリフがいちいちカッコいい。このバランス感覚こそ俺が本作を高く評価する最大の理由である。音楽もいいね。SCARECROWのロゴもかっこいい。さぞかしみんなも感動しただろうと思って検索すると、でるわでるわ酷評の嵐。必要以上にボロクソにけなされていて腹が立った。この映画にバカ映画のレッテルを貼ってるやつらにバカのレッテルを貼り返してやりたい。ちんぽ頭のわからんちんどもは全員トウモロコシで刺し殺されたらいいのだ。というわけでひさびさにホラー魂の炸裂した作品を観た。熱いぜ。★★