アフガン零年
「アフガン零年(OSAMA)」(2003 アフガニスタン・日・愛 セディク・バルマク監督)82分
戦慄とエロの美学 1ねん1くみ がしゅういんたつや
チャドルをまとった覆面集団のデモ行進のさなか、突如響き渡る怒号と悲鳴。動揺するキャメラ、殺到する足音と銃声―。タリバン主催、「女だらけの水浴び大会・IN・カブール」の光景である。放水シャワーを浴びてキラめく女たちを華麗なスローモーションで捉えたこの冒頭シーンにまず圧倒される。奇妙な戒律で縛られたカブールの町で、少年に扮した少女マリナの挙動を執拗に追いまわすキャメラ。降りかかるのは災厄ばかりなのに、神への服従を誓わねばならない人びと。印象的な構図と長回しが多用され、ドキュメンタリータッチの殺伐とした空気が緊張を高める。子供たちがニワトリのようにおじぎをしながらコーランを朗読する光景はある意味ホラーですらある。と同時にわたくしどもの興奮も否応なく高まります。少年たちの入浴現場に引きずりだされ、晒し者にされる少女。樹上に追い詰められたり、井戸に吊るされたりと、散々な目に遭って泣きじゃくるマリナたん。アラーの神もとんだサディストだが、少女のあどけない顔だちに刻まれた深い悲しみと絶望のまなざしにエロスを透視せざるを得ないわたくしどもこそ、真の罰当たりと申せましょう(ならばわたくしは進んでその罰を受けよう!)。唐突に挿入される場違いな縄跳びのスローモーションは少女の性の目覚めを暗示しているに違いありません。と、ちんこをふり上げつつわたくしは訴えたい。★1/2